国際離婚

国際離婚について

1、国際離婚の方法

国際結婚とは、配偶者の一方(夫もしくは妻)が外国人の場合を言います。
昨今では、2人とも外国人だけれど、日本で生活されている方々もいます。このような国際結婚の方々が離婚する場合、裁判管轄や適用する法律が問題になります。
たとえば、妻は日本人、夫はアメリカ人としましょう。日本で離婚するためには、日本の離婚手続(協議離婚、調停離婚、裁判離婚など)でよいのですが、アメリカで離婚するためには、州の取決めに従わなくてはなりません。
アメリカには協議離婚制度はないので、どうやって日本での離婚を反映させるかが問題となります。各国によって異なるので、弁護士にご相談ください。

2、国際離婚(日本で離婚ができるか)

日本で結婚をした場合、基本的に日本で離婚をすることができます。
しかし国際結婚の場合、配偶者の国でも結婚しているので、その国で日本の離婚の効果が認められるかが問題になります。
夫婦の一方が離婚に反対している場合、日本では離婚したが、夫(妻)の本国では離婚ができず、財産を分けてもらえないなどということがあり得ます。

3、国際離婚の準拠法(どこの国の法律が適用されるか)

国際離婚の場合、通則法という法律で適用されます。原則は以下の通りです。※通則法27条

  • ①夫婦の本国法が同一の場合は本国法 夫婦が2人とも中国人の場合は、日本でも中国法が適用される
  • ②夫婦の本国法が異なるが、常居所地法(住んでいる所の法律)が同じ場合は常居所地法が適用される
    ※夫婦の一方がアメリカ人で他方が韓国人で、2人とも日本で生活している場合は、日本法が適用になる。
  • ③夫婦の本国法が異なるし、常居所地法も異なる場合は、夫婦に最も密接な関連がある地の法律が適用される。
    ※夫婦の一方がアメリカ人で他方が韓国人で、日本で結婚したが、前者はアメリカに帰り、後者は日本で生活し続けている場合は、日本が最も密接な関連があるので日本法が適用される。
  • ④夫婦の一方が日本に居住する日本人の場合は日本法が適用される
 

ただし、上記は夫婦の離婚に限定され、夫婦の間に子どもがいる場合にはまた別途の考慮になります。 そのほか、国際離婚には様々な問題が生じます。詳しいことは弁護士にご相談ください。

4、外国での離婚判決の日本における効力

(1)外国で離婚判決が出た場合、その効力が日本でも認められるのでしょうか。
民事訴訟法118条は、以下の4つの要件を満たせば認められると規定しています。

  • ① 法令・条例により外国裁判所に裁判権がある時
  • ② 被告が訴訟開始に必要な呼び出しや命令の送達を受けるなどして応訴したこと
  • ③ 判決の内容及び訴訟手続が日本の公序良俗に反しないこと
  • ④ 国の間に相互保証があること

(2)効力が認められない場合の具体例

以下のような場合には、外国離婚判決の効力が日本では認められない可能性があると考えられます。

  • ① 被告の日本人が日本に居住しているが、呼び出しなどがなく、
    一方的に外国で離婚判決が出された場合
  • ② 裁判書類の送達が私人による直接郵便送達であった場合

5、日本での離婚判決の外国における効力

国によっては、外国の離婚手続を一切認めない国もあります。
したがって、日本で離婚成立しても、外国人の国籍国で再び離婚手続が必要な場合があります。
そこで、日本での離婚をどうやってその外国で反映させるか、手続きを確認しておくべきです。

6、離婚と在留資格

日本人や永住者の配偶者として在留資格を得ている場合、離婚によって在留資格の基礎を失います。
そのため、在留資格の変更の手続きが必要になります。
3年程度の婚姻の実態があり、安定した収入がある外国人ならば、離婚後も「定住者」の資格が得られます。
また、日本人配偶者と離婚後、日本人の実子を監護養育していれば、収入がなくても「定住者」の在留資格を取得できます。

国際離婚を弁護士に依頼するメリット

国際離婚の場合、そもそも日本に管轄があるのか、どの国の法律が適用されるのかなど、日本人同士の離婚に比べ、判断が非常に難しいです。
また、日本には協議離婚がありますが、海外にはほとんどなく、日本の離婚を有効にするには判決(審判)を持ってこいと言われることがあります。
最初に弁護士に相談すれば、手続が二重になることはありません。
国際離婚で、さらに子どもの養育費や面会交流などが問題となる場合は、ハーグ条約の問題も生じます。
配偶者に相談せず、子連れで日本に帰国すると、場合によっては誘拐罪になることもあります。
問題が激化する前に弁護士に相談してください。